「ステップファミリーは離婚する確率が高い」と言われていますが、実際はどうなのでしょうか。
今回は「ステップファミリーは本当に離婚しやすいのか|離婚率からみる崩壊の真実」ということで、厚生労働省の婚姻に関するデータを参考にしながらお話を進めていきたいと思います。
この記事の内容
- ステップファミリーの離婚率
- ステップファミリーが離婚する原因
- ステップファミリーが離婚せずに過ごす方法
- ステップファミリーが崩壊している状態
ネット上ではステップファミリーの離婚率は50%を超えていると言われていますが、どうなのでしょうか。
それでは詳しくみていきましょう。
ステップファミリーの離婚率とは?
ステップファミリーの離婚率を知るために、次の2つの内容について考えていきます。
ポイント
- 日本の離婚率は3組に1組と言われるのは本当か
- ステップファミリーの離婚率が50%を超えているのは本当か
そもそも、日本は3組に1組が離婚していると言われていますが、事実なのでしょうか。
また、ネット上ではステップファミリーの離婚率は50%を超えていると言われていますが本当なのでしょうか。
【 1 】日本の離婚率は3組に1組…ではない
日本の離婚率は3組に1組と言われていますが、この考え方は厳密に言うと間違っています。
次の表をみてください。
年次 | 婚姻件数(件) | 離婚件数(件) | 割合(%) |
2014年(平成26年) | 643,749 | 222,107 | 34.5% |
2015年(平成27年) | 635,156 | 226,215 | 35.6% |
2016年(平成28年) | 620,531 | 216,798 | 34.9% |
2017年(平成29年) | 606,866 | 212,262 | 34.9% |
2018年(平成30年) | 590,000 | 207,000 | 35.0% |
※厚生労働省「平成30年(2018) 人口動態統計の年間推計」をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/dl/2018suikei.pdf)
この表は、厚生労働省が発表している「平成30年(2018)人口動態統計の年間推計」というデータをもとに作成した表です。
たとえば、2018年は婚姻件数約59万件に対して、離婚件数が約20万ですね。
2018年の離婚件数を婚姻件数で割ると、35%という割合が出ます。
参考
207,000(件)÷590,000(件)×100=35(%)
35%はおおよそ3分の1ですから、3組に1組が離婚していると言われているわけです。
しかし、2018年に結婚した59万件の中の20万件が離婚した訳ではありませんので、同じ年の婚姻件数と離婚件数で計算しても、正しい数字とは言えませんよね。
では、実際に離婚した人の割合はどのように計算されるかというと、人口1,000人あたりに離婚した人がどれ位いるのかという考え方で算出されます。
次の表を見てください。
年次 | 離婚率(‰):人口千対 |
2014年(平成26年) | 1.77‰ |
2015年(平成27年) | 1.81‰ |
2016年(平成28年) | 1.73‰ |
2017年(平成29年) | 1.70‰ |
2018年(平成30年) | 1.66‰ |
※厚生労働省「平成30年(2018) 人口動態統計の年間推計」をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/dl/2018suikei.pdf)
この表は、厚生労働省が公開している「平成30年(2018)人口動態統計の年間推計」をもとに作成した表です。
2018年(平成30年)を見てみると、人口1,000人あたり1.66‰(パーミル)の離婚率ですので、0.166%ということになります。
参考
1‰=0.1%
パーセント=1/100(百分率)
パーミル=1/1000(千分率)
35%と0.166%では随分と違いますよね……。
実際の日本の離婚率は100組に1組もいない計算になることを知っておきましょう。
【 2 】ステップファミリーの離婚率が50%超えているって本当?
ステップファミリーの離婚率でいえば、「50%を超えている」という話しも良く聞きます。
私が調べてみたところ、厚生労働省ではステップファミリーの離婚率は公表されていませんでした。
ではなぜ、ステップファミリーの離婚率が50%を超えていると言われるのでしょうか。
次の表を見てください。
総離婚件数(件) | 子どもがいる件数(件) | 割合(%) |
251,136 | 143,834 | 57.2% |
※厚生労働省「平成21年度 人口動態統計特殊報告『離婚に関する統計』の概況」をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/03.html)
この表は、厚生労働省が公表している「平成21年度 人口動態統計特殊報告『離婚に関する統計』の概況」というデータをもとに作成した表です。
公表されている年度が古いので、現状とは少し違いがあるかもしれませんが、十分参考にできますので見ていきましょう。
表の中の「総離婚件数」が約25万件で、離婚した人のうち「子どもがいる件数」が約14万件となっています。
離婚した人のうち子どもがいた人の割合を計算すると57.2%となります。
つまり、ステップファミリーの離婚率が50%を超えているというよりも、離婚した人のうち、子どもがいる割合が50%を超えているといえます。
子どもがいた約14万件には、ステップファミリーがいれば、ステップファミリーではない人もいるということです。
子連れで離婚する人は確かに50%以上いますが、ステップファミリーが離婚しやすいか……という答えは厳密に言えないのが現状です。
ステップファミリーが離婚する原因
ステップファミリーは、その特性上離婚しやすいのは事実でしょう。
ではなぜ、ステップファミリーは離婚しやすいのでしょうか。
ステップファミリーが離婚しやすい原因には次のようなことが挙げられます。
離婚しやすい原因
- 子どもとの関係が上手に築けない
- 自分の子どもと差別してしまう
ステップファミリーは、「自分の子どもができる前」と「自分の子どもができた後」の2つに分けられます。
最初からうまくいかないこともあれば、最初はうまくいっていたけど、後からうまくいかなくなってきた……ということがありますので、その原因を知っておくことで気をつけることができるでしょう。
それではみていきます。
【 1 】子どもとの関係が上手に築けない
ステップファミリーが離婚する原因の1つ目は「子どもとの関係が上手に築けない」ということです。
子どもとは、連れ子(継子)のことです。
ステップファミリーは結婚した当初から子どもがいるので、その子どもを中心として生活が始まります。
子どもからすれば、再婚相手はいきなり現れた存在ですから、急に「君の親だよ」と言われても困るわけですね。
それでも、大人は再婚したら親になろうとしてしまいますから、子どもとの関係が上手に築けずにうまくいかないことがあります。
連れ子との関係を上手に築くためには、親になろうとせずに友達になるくらいの気持ちで接してあげるようにしましょう。
【 2 】自分の子どもと差別してしまう
ステップファミリーが離婚する原因の2つ目は「自分の子どもと差別してしまう」ということです。
「自分の子どもが出来ても、連れ子に対して変わらず接するぞ」と思っていても、いざ自分の子が生まれると愛情が偏ってしまいます。
血縁というのは、それだけ不思議な繋がりを持っているということです。
ステップファミリーとして最初は順調に過ごせていても、子どもが生まれたことをきっかけにうまくいかなくなる家庭も多くあります。
子どもが生まれても上手に生活していくためには、連れ子を優先して接していくことです。
子どもは子どもなりに、「自分は2人の間の子どもではないから……」と寂しい気持ちを持って過ごしているので、2人の間に子どもが生まれたとしても、「あなたも大切な家族だよ」ということが伝わるようにたっぷりの愛情を注いであげることが大切です。
ステップファミリーではなくても離婚する
次の表を見てください。
年次 | 婚姻件数(件) | 離婚件数(件) | 割合(%) |
2014年(平成26年) | 643,749 | 222,107 | 34.5% |
2015年(平成27年) | 635,156 | 226,215 | 35.6% |
2016年(平成28年) | 620,531 | 216,798 | 34.9% |
2017年(平成29年) | 606,866 | 212,262 | 34.9% |
2018年(平成30年) | 590,000 | 207,000 | 35.0% |
※厚生労働省「平成30年(2018) 人口動態統計の年間推計」をもとに作成
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/dl/2018suikei.pdf)
この表は、最初の見出し「ステップファミリーの離婚率とは?」の中でも紹介した表です。
2018年(平成30年)の離婚件数は約20万件でした。
約20万件のすべてがステップファミリーということではありませんので、当然ステップファミリー以外の離婚者がいます。
つまり、ステップファミリーだから離婚するわけではないのです。
結婚した以上、どの夫婦にも離婚する可能性があります。
「ステップファミリーだから」と変に考えすぎず、幸せになることを考えて過ごしていくのが良いですね。
ステップファミリーでも離婚せず過ごすために大切なこと
ステップファミリーとして離婚しないように過ごしていくためには、大切にしたい考えが5つあります。
大切にしたい5つの考え
- ゆっくり時間をかけて過ごせば良い
- 子どもとは「友達」になってあげる
- 2人の間に子どもができたら連れ子を優先してあげる
- 男性の連れ子なら育児は夫の役目
- 多感な思春期には決断を急がない
この5つの考え方を常に忘れないように過ごすことで、離婚せずに幸せな生活を送ることができます。
【 1 】ゆっくり時間をかけて過ごせば良い
ステップファミリーが離婚しないようにするために大切にしたい考えの1つ目は「ゆっくり時間をかけて過ごす」ということです。
親になることや、良い関係を築くことを考えることは大切ですが、何も急ぐ必要はありません。
何十年と続くステップファミリーという形を、ゆっくり過ごしていく心の余裕を持ちましょう。
「急がば回れ」ではありませんが、ゆっくり、じっくりと過ごしていくことが幸せな家庭を築く最善の方法になることでしょう。
【 2 】子どもとは「友達」になってあげる
ステップファミリーが離婚しないようにするために大切にしたい考えの2つ目は「子どもとは『友達』になってあげる」ということです。
結婚することになると同時に、「今日から親だからね」と言われて素直に受け入れる子どもはほとんどいないでしょう。
また、子どもは離婚して別に住む親のことを「親」と思っています。
再婚して新しくやってきた大人のことを親だと思えという方が難しいわけです。
それであれば、あえて親になろうとせずに「友達」になってあげましょう。
「一緒に住んでいる仲の良い年の離れた大人」という距離感でいる方が、子どもとの関係性はうまくいきます。
【 3 】2人の間に子どもができたら連れ子を優先してあげる
ステップファミリーが離婚しないようにするために大切にしたい考えの3つ目は「2人の間に子どもができたら連れ子を優先してあげる」ということです。
新しく生まれた子どもを優先してしまうと、「自分はこの家にいない方が良いのではないか……」ということを考えてしまいます。
2人の間に子どもが生まれると、連れ子を後回しにしてしまうことが増えるので、十分に注意することが大切です。
【 4 】男性の連れ子なら育児は夫の役目
ステップファミリーが離婚しないようにするために大切にしたい考えの4つ目は「男性の連れ子なら育児は夫の役目」ということです。
日本の家庭は、まだまだ「家事や育児は女性の役目」という考えが根強いように思います。
ステップファミリーではない家庭であれば、夫婦の形が「女性が家事と育児」ということなのであれば問題ないでしょう。
しかし、ステップファミリーは特殊な関係なので、「連れ子の教育や躾は実親の役目」といえます。
男性に連れ子がいて結婚した場合は、女性が家事をするにしても、子育ては男性がするべきなのです。
再婚相手から教育や躾を受けると、子どもには「親でもないのに……」という感情が芽生えるからです。
男性が連れ子再婚の場合は、男性がしっかりと育児に参加するようにしましょう。
【 5 】多感な思春期には決断を急がない
ステップファミリーが離婚しないようにするために大切にしたい考えの5つ目は「多感な思春期には決断を急がない」ということです。
ステップファミリーとして過ごしてきて子どもが思春期になることはしょうがないですが、子どもが思春期のタイミングで再婚や付き合い始めるというのは注意が必要です。
思春期の子どもは、親が恋愛や結婚について考えていることを知ると嫌悪感を抱くことがあります。
1人の男性や女性であることを嫌うのです。
子どもが思春期のときは決断を急がずに、ゆっくりと時間をかけることが大切です。
子どもの虐待が起きていたらステップファミリーとして崩壊している
ステップファミリーは色々な問題が起こりますが、問題を抱えているのはステップファミリーではなくても同じです。
多少の問題では離婚を考える必要はありません。
しかし、確実に離婚した方が良い場合があります。
それが、子どもに対しての虐待が起きている場合です。
再婚相手から子どもへの虐待が始まっている場合は、ステップファミリーとして完全に崩壊しています。
そして、1度始まった虐待は、残念ながら終わることはありません。
1番大切なのは、自分の子どもなのか、それとも再婚相手なのか。
考えるまでもなく子どもですよね。
もし、子どもへの虐待がある場合は、今すぐ離婚するようにしてくださいね。
困っているときはM-STEPやSAJ〜Stepfamily Association of Japan〜といったNPO法人に相談することもできますよ。
1人で抱え込まず、助けを求めましょう。
まとめ:ステップファミリーは子ども中心に生活しないと離婚や崩壊が起きる
今回は「ステップファミリーは本当に離婚しやすいのか|離婚率からみる崩壊の真実」という内容でお話をしてきました。
ステップファミリーは特殊な家族構成なので、離婚しやすい要素が多いのは確かです。
大切なことは、「子どもを中心に考えてあげる」ということです。
特に連れ子を中心に考えてあげることが幸せに暮らしていく上で大切。
連れ子に対して虐待があれば、それはステップファミリーとして崩壊しています。
すぐに離婚をすることで子どもを守ってあげてくださいね。